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考古学勉強日記
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 遺産活用の体系作り・試案(実例研究:フエ)
 2005年07月30日 (土) 01:20:37

1. 序
知床の世界遺産登録や熊野古道の落書きで問題になったように遺産と観光とは切っても切り離せない問題となっている。しかし、観光のみについて考えれば保存および活用に対して十分な努力を払っているとは言えまい。ここでは観光のみでなく、もっと包括的なマネジメントのための方向性を提示してみようと思う。

2. 本論
Ⅰ前提
遺産をどうマネジメントしていくかを考える際にはまず遺産をどう捉えるかが重要となってくる。遺産とは遺跡・遺物といったモノだけではなくその周囲の人々の文化の積み重ねであり、彼らがモノに対して付加してきた価値の総体である。そのため遺産をマネジメントするということは価値を活かすことで、その価値の総体の方向性から外れることなく我々もまた価値を付け加えていくべきである。
Ⅱマネジメント
 私が考えるのは、学術・教育・地域発展の3つの方向からのマネジメントである。簡単に言うと、学術調査の成果によって保存・教育が行われ、教育によって学術調査の人材育成や人々の意識作りがなされなければならない。そして出来あがった下地の上に外からの人々を迎え入れる。そういった段階を踏んで、地域の発展が行われるのが私の考えるマネジメントである。
学術
項目ごとに詳しく見ていこう。まず学術について。保存修復という事業は学術的な根拠によってなされなければならない。現代の我々のイメージや観光のための捏造はあってはならず、あくまで過去にあった姿を修復し、保存しなければならない。そのためには継続的に遺産全体の、つまり遺跡及び文化の学術調査が行われる必要がある。また、その調査・研究で得られた知見を次の教育において適切に活用する。
教育
 によって得られた知見は学校教育や生涯教育などにおいて地域・国内で彼らの文化としてのアイデンティティ確立のために活用されるだけでなく、ユネスコの提唱する他文化の理解のためにも活用されるべきである。活用の方法には2種類がある。一つは先にあげた知見を用いた知識教育。もう一つは実物を見て触れることによる実地教育であり、この二つをフルにおいて遺産をフルに活用することが遺産に対するより深い理解へとつながる。また、遺産を活用しての教育はの学術を担当する人材養成にもつながる。
 もちろん、この教育は現地の人々にのみ適用されるものではない。遺産を訪れる大量の観光客も遺産の特質を学び、文化に対する理解を深めておくことが良いのは言うまでもないことである。それによって観光客も遺産に対する無知から来る損失はある程度防ぐことができるし、ステレオタイプや偏見を排除し、虚飾のない遺産に触れることができるようになる。
地域発展
 遺産、特に世界遺産に指定されたものは海外からも多くの人々が遺産目当てにやってくるために観光と遺産はもはや不可分であり、保存・活用と両立させることは非常に重要なことである。観光は遺産のある地域にとって重要な収入源の一つとなるために観光第一と考えられがちであるが、遺産の価値や重要性のためには規制も必要となる。重視されるべきはあくまで遺産及びその文化を支える地域であり、観光などによって得られた利益は地域に還元され、それによって地域の発展をもたらすようなマネジメントでなければならない。遺産の保存・活用はあくまで地域住民の合意の下に行い、地域を中心に行っていくものであり、当然遺産とともにありつづけてきた受益者は地域でなければならない。

3. 結
 遺産のマネジメントを考える際に、観光というのは確かによく見える問題点である。しかし今回のフエの建造物群のような文化遺産においては、自然遺産と異なり文化だけでなく人間の手で作られてきた有形の遺跡を含むことが多い。であるからして、私は文化遺産のマネジメントでは何よりも先に保存について図られねばならないと考える。
 “学術”によって遺産の形を復元・研究し、その成果が“教育”に活用される。そして“教育”が人材や人々の理解となって“学術”を深化させて文化的な“地域発展”を目指す。然る後に観光の導入などによってマネジメントの補完のために経済的な“地域発展”を目指す。これが私の考えるマネジメントの方向性である。
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