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考古学勉強日記
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 尊敬する研究者
 2006年02月01日 (水) 00:57:35

参考url : http://www6.atwiki.jp/archaeologychick/pages/15.html

と、いうことでオンライン考古勉強会の記事です。
前回のお題は「生業」でしたが今回は「尊敬する研究者」ということで。
あえて現在第一線で活躍なさってる方を記事にしたいと思います。


僕が在京の大学に通っているために
・高橋龍三郎氏(東北晩期土器論/民族誌)
・谷口康浩氏(集落/社会構造)
・阿部芳郎氏(環状遺丘/遺跡形成論)
らと知己を得て時に御指導を受けながら縄紋時代を勉強しています。
今年はその他にも青山の助手さんや加曾利の博物館の副館長さんなど、
多くの方にお世話になることができ、非常に有意義な一年でした。

"文化の変遷は進行中の状態で観察することはできない"(山内:1939)
との言葉があるように、
研究者とその研究も日々進歩しつつあるものであって
当事者でない僕が語れることではない。
ここでは僕の独断と偏見で僕の好きないくつかの論文・発表を選び、
それを紹介することで「尊敬する研究者」の記事としたいと思います。
今回挙げる研究者は國學院大學講師・谷口康浩氏です。

***

縄文時代の親族組織と集団表象としての土器型式」(谷口:1986)
谷口先生の論文の中で最も好きな論文。
前半部でまず型式研究の学史をまとめており、
型式研究の内包していた問題を
"形式・型式概念およびその理論構成の不徹底"と指摘する。
そして型式からその社会性を読み取る必要性を主張し、
後半部で親族・社会構造を整理する概念の整理、
縄紋時代における親族・社会構造の研究史の整理を行ったうえで、
所論として女性の移動による型式の変化を提示している。
また、まとめにも書かれているように
所謂単なる編年から型式と集団との関係を考察する
学史の流れの中にこの論文を位置づけている。

この論文が好きな理由は現象としての型式ではなく
その本質のメカニズムを考察していることである。
自分が志向している方向はこの論文にも影響を受けている。

***

縄文時代集落論の争点」(谷口:1998)
谷口先生の論文は好きなものが非常に多いが、
その理由としては学史的背景を明確に整理していることが挙げられる。
この論文はその冠たるものとも言えよう。
縄紋の集落論をかじったことがある人なら耳にした、
実際に読んだ人も多いのではなかろうか。
土器による住居址の時期決定などの集落論の方法的問題、
吹上パターンのような住居の廃棄などの居住行動の問題点、
一段マクロな目で見た定住や移動といった居住行動の問題点
といった集落研究全般の学史的背景を整理し、
最後に筆者が研究の主眼としていた環状集落論をまとめている。

この論文は2005年度尖石縄文文化賞のいわば受賞作となった
「環状集落と縄文社会構造」の中にもまとめられており、
値段が5800円と少し張りますがお金に余裕のある人は是非。

***

縄文土器型式情報の伝達と変形-関東地方に分布する曽利式土器を例に-」(谷口:2002)
15ページほどの論文だけど、
僕は土器研究にたくさんの可能性を感じさせるのでこれも一押し。
曽利式がどれほど中部から関東に伝達されたか、
と今までにもあった計数的な考察をするのではなく
曽利式としての情報がどれだけ伝達されたか、
と計量的な考察を行っている点が非常に面白い。
分析資料を完形・略完形・復元固体としている点や
情報の保有量の分類として
・オリジナルな曽利式に忠実な一群
・文様の細部の特徴や型式情報の編集に変形が生じている一群
・変形が著しくオリジナル標本の中にすでに類例を見出せない一群
と完全に客観的と言えないような分類法を用いていることから
分析の方法論に問題があると言えなくもないが、
しかしそれ以上に土器型式の伝達について考える上で
個数から情報量へと視座を転換した事でこの論文の価値は大きいと思う。

***

たくさんの研究者に直接会える機会が多いというのは
在京の大学生の一つの強みだと思うけど、
谷口先生の講義を受けることができたのはその恩恵だと思う。
僕が先生を尊敬する理由はまず学問を徹底する姿勢なんじゃないか。
論文を書く際に学史から洗い出す姿勢に見られるように、
またカミソリみたいなナタなんて言われるように、
何をしたかではなくどうやって考古学と向き合っているのか
という所に惹かれるし、尊敬しています。

早稲田大学で行われた縄紋社会をめぐるシンポジウムでは
「石棒祭儀に伴う象徴的生殖行為とその意味」と題して発表を行っており
最近は集落から墓制へと研究の方向性を変えたのかなとの印象を受ける。
今度はどんな論文を書いてくれるのだろうとわくわくしています。
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